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古美術門運孔のよもやま話~時を越えて語りかけるもの⌛~

古美術門運孔の更新担当の中西です

 

 

~時を越えて語りかけるもの⌛~

 

 

古美術の世界に足を踏み入れた瞬間、誰もが感じる独特の空気。
静寂の中に漂う緊張感と、品物が放つ見えない気配。
そこには、人の手を離れてなお生き続ける“美の魂”があります🎨


🏺 古美術とは「時間を感じる芸術」

私たち古美術商が扱うもの――それは単なる“古い物”ではありません。
そこに刻まれた傷、色あせ、かすかな香り……
それらすべてが、時代を生き抜いた証であり、今を生きる私たちに「物の命」を教えてくれるのです。

たとえば、江戸期の茶碗。
一見すると素朴で、どこにでもありそうな器。
けれども、指先で縁をなぞると、微妙な歪みと土の柔らかさが伝わってくる。
それは、窯の中で炎が踊り、人の心が形をなした「一期一会の造形」なのです🔥


🧭 美術商の目が見ているもの

古美術商にとって大切なのは、「物を見る力」。
単に真贋を見抜くだけではなく、その作品が“どんな時代を生き、誰の手を渡ってきたのか”を感じ取る感性です。

たとえば、掛軸ひとつにも、
墨のにじみ・紙の質感・表具の癖・軸先の素材――それぞれが時代の息遣いを残しています。
私たちは顕微鏡で見るような視点ではなく、「時代を読む目」で作品を見ています👀


🌸 出会いは一期一会

古美術の仕事で最も心が震える瞬間――それは“出会い”です。
骨董市や旧家の蔵、あるいはお客様のご相談の中で、思いがけず出会う名品。
埃をかぶっていた一枚の屏風が、光を浴びた瞬間に息を吹き返す。
その瞬間、まるで時代の扉が開くような感覚があります。

古美術商にとって「仕入れ」は単なる取引ではなく、作品との対話。
「この作品を、次に誰の手に託すか」――その選択にこそ、商人としての責任と誇りがあります。


🌟 まとめ

古美術とは、“過去を売る”仕事ではなく、“時間をつなぐ”仕事
一点一点に宿る物語を未来へと橋渡しする――それが古美術商の使命です。
今日もまた、時を超えて語りかける品々と向き合いながら、
新たな出会いを求めて歩き続けています⌛✨